研究内容
システム制御理論(特に確率システム、確率制御理論)の研究を軸としながら、その融合・応用先として、最適輸送・機械学習・プライバシー保護といった分野に興味をもって取り組んでいます。データの不確かさなどを伴うこのような問題では、解析・制御したいシステムの確率的な表現が強力、あるいは必須です。また、確率性があることで初めて見えてくるシステム制御理論の豊かな構造・他分野との繋がり(例:制御と確率推論の双対性、最適制御と最適輸送の等価性)があり、工学的・理学的に興味深い研究対象です。
システム制御において現れるさまざまな不確かさ(システムモデル、学習データ、確率的要素などの不確かさ)のもとで、いかに「最適」な制御を実現するか、に興味があります。そのために、統計的学習理論や情報理論、オンライン最適化などの枠組みを制御に取り込んだ理論展開を行っています。
実問題からモチベーションを得ることが多いですが、あるアプリケーションに特化するよりむしろ、数理の言葉で抽象化した枠組みで理論展開し、さまざまな応用につながる分野横断的な研究をすることを目指しています。
もちろん、特定のシステムに焦点を当てることで得られる重要な知見もあるため、そのような研究にも取り組んでいます。
具体的には以下のテーマに取り組んできました。
エントロピー正則化を利用した最適制御(最大エントロピー制御,強化学習,Control as Inference)
オンライン最適化理論に基づいた適応的制御(オンライン制御,制御におけるリグレット解析)
確率分布の制御(動的システム上の最適輸送理論,Schrödinger bridge,アンサンブル制御)
大規模システム(群れ)の制御
外れ値を考慮するための非ガウス確率システム理論(安定分布と制御理論)
確率雑音による制御システムの差分プライバシー保護